やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 とりあえず訂正することにした。

「あのー課長どこで聞いたか知りませんけどその話間違ってますから。私、別にホテルに連れ込まれてないですよ」
「そうなの?」

 柱谷課長の目が丸くなった。

 わぁ、この人変な噂信じてたんだ。

 ショックだなぁ。

 私が軽く凹んでいるとテンション低めの声がフロアの入り口から聞こえてきた。

「おはようございます」

 細かくウェーブした茶髪もへなっとした感じになっていてどこか元気がない。

 これ蛇になってたらへばっていたのかな?

「中森くん、朝から大分お疲れだね。でもそんな君も色気があって素敵だよ」
「課長、朝っぱらから気持ち悪いこと言うのやめてください」

 心底うんざりしたように返すと中森さんは自分のデスクへと向かう。ふらふらとした足取りはかなり危なっかしい。

 中森さん、昨夜は寝てないとか?