やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「そういえば」

 彼はどこかごまかすように言った。

「大野くん大変だったねぇ」

 これ、私と三浦部長がクビになりかけた件だよね。

「あ、はい、大変……」

 でした、と続けようとした私の返事より早くとんでもないセリフが飛んできた。

「取引先にホテルに連れ込まれたんだって?」
「なっ」
「三浦部長が乗り込まなかったら食べられちゃってたねぇ」
「……」

 えーと。

 どうしよう、変な噂が広まってるかも。