やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 確かに殴ったのは部長だけどそれは私を助けるためじゃん。

 納得できないよ。

 それにヨツビシの件を何とかしたら処分なしになるんじゃなかったの?

 約束が違う。

 たとえ口約束でも約束は約束じゃない。

「大野」

 スマホを片手に固まっていた私に三浦部長が声を和らげる。

「僕のことなら気にしなくていい。優子が時間を稼いでくれているし最悪の結果にだけはならないだろう。第二事業部には居られなくなるかもしれないがそれで済むのなら僕は受け容れる」
「いや、それじゃ駄目です」

 私の声が大きくなる。

「部長のいない第二事業部なんて意味ありません」
「……」

 今度は三浦部長が黙ってしまった。