やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 でもなぁ。

 手放しちゃうのはなぁ。

 絶対もったいないよね。

 私なら永久保存したいくらいなのに。

 別れるだなんてあり得ないんだけど。

「……」
「ち、ちょっと急に黙らないでよ」
「……お持ち帰りしたい」
「はぁ?」

 中森さんが頓狂な声を上げる。

 はっ。

 私、つい頭に浮かんだことを。

 いかんいかん。

 何かを察したのか中森さんが私から逃げるように離れた。半歩くらいの距離だけどその差が何だか寂しい。

 私が苦笑いすると中森さんが告げた。

「あたし、そっちの趣味はないからね」
「……」

 私もありません。

 ない、よね?