やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「わぁ、最悪。私そんな奴の人事に加担させられちゃったんだ」

 優子さんが大袈裟なくらいのオーバーアクションで天を仰いだ。

「私の人事としてのキャリアに傷がつくわぁ。そんな奴だなんてプロフィールには一言も書いてなかったわよ。もし知ってたら全力でこの件潰してるのに」
「……」

 えっ?

 優子さん、その気になってたら潰せたんですか?

 だったら潰してくださいよ。

 私の心を代弁するかのように中森さんが言った。

「早見課長、いっそ本当に潰してくれませんか? あたし、あんなクズが本社に来るだなんて我慢できません。あれならミジンコとかゾウリムシのほうがよっぽどマシです」
「いやいや、私より中森さんのほうができるんじゃないの?」
「ええっ?」

 私は吃驚して中森さんを見た。