やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「あれか? 三日の夕よなんてただの口約束だったってことか? どっちにしろ僕と大野の処分は確定してるってことか?」
「……」

 私はぐっと拳を握った。

 頭の中でにいっと笑う北沢副社長の顔が浮かぶ。愛嬌のある笑顔はどこか人を惹きつけるがその目は一切笑っていなかった。

 北沢副社長は知略と策謀で今の地位まで上り詰めた人物だ。しかも汚いことだって平気でやる。

 油断してはいけない。

 優子さんが口から手を放し、観念したといったふうに肩を落とした。

「わ、わかったわよ。話せばいいんでしょ。とりあえずここだとアレだから場所を変えない?」