やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 密着度が弱まったことで僅かな安堵を抱いた私は自分のノートPCをぱたんと閉じた。自分でも半ば無意識な動きで部長のデスクへと近寄る。もやもやしたものが心にこびりついていた。できるだけ表情に出さぬよう努める。

「私、部長を辞めさせたりなんかしませんよ」
「……まーちゃん」
「まだどうしたらいいかわかりませんけど絶対にヨツビシの件は何とかしてみせますから」
「……」

 優子さんはしばらく私を見つめ、やがてゆっくりとうなずいた。その表情が一気に明るくなる。

 おおっ、まるで花が咲いたみたい。

 エキゾチックな雰囲気の優子さんだから南国の花とか似合うかもしれない。

「そうだね、諦めたら駄目だよね。いくらたっちゃんの後任が選ばれたとしても、逆転の可能性はゼロじゃないよね」

 優子さんの言葉に三浦部長が眉を寄せた。