やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 部長が私の知る限りで一二を争う恐ろしい形相で唇を噛んでいる。わぁ、これはかなりやばい。

 新村くんに話を遮られたのも原因かもだけど私がプレゼントをもっと喜ばなかったのがいけないんだよね。

 きっと何か事情があって好きな人のために買った誕生日プレゼントを私に回したのだろう。どんな事情かは知らないけど。

 うん、きっとそうだ。

 そうに違いない。

 私はマフラーとコートを身に付けた。思っていた以上にコートの着心地は良い。マフラーも暖かくてこれなら冬を無事に越せそうだ。

「部長、ありがとうございます。これ、すごく暖かいです」
「そ、そうか。それは良かったな」

 部長の頬が少しだけ緩む。それは微妙な変化で見慣れていない人にはわかり辛いものだったけど、彼のことが好きな私にはよくわかった。恋をするってすごいよね。