やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「それ、どうしたの? 大野さんって普段ブランド物とか使わないよね?」
「あ、えっと」

 私はちらと三浦部長を見た。

 察してくれたのか部長がこくりとうなずいてくれる。

「た、誕生日プレゼント。さっき部長がくれたの」
「へぇ」

 何か言いたそうな声で新村くんが返す。

 私は落ち着かない気持ちで苦笑した。こういうときはとりあえず笑ってごまかそう。

 新村くんが部長に訊いた。

「三浦部長は他の部員の誕生日にもこんなふうにプレゼントをするんですか?」
「……」

 すぐに返事をせず、部長は中空を見遣った。