やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 しかし、私の予想は外れ、三浦部長のお小言マシンガンは発射されなかった。

「よし、それなら会社の傍の喫茶店でやろう。僕も行くぞ」

 三浦部長の言葉に新村くんが眉をピクリとさせた。

 その表情は決して三浦部長を歓迎するものではなかったが直後に新村くんはスマイルで感情を覆い隠してしまう。

 ニコニコしてる新村くんの背後に黒いオーラが漂っているみたいだった。

「ん? 僕が一緒は駄目かね? 一応当事者なんだが」
「いえいえ、別に駄目なんてことはないですよ」

 笑顔の新村くんの後ろで闇が広がっている気がするのは私だけだろうか。

「じゃあ決まりだな」

 三浦部長がパンと手を打つ。

 異論は許さないといった強引さを孕んだ音が第二事業部の部内に響き渡った。

 *

「ところで」

 終業後にヨツビシの件で話をすると決まると新村くんがデスクの上に置かれた高級ブランドのロゴのついた紙袋に目を向けた。