やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 私が不安に思っていると三浦部長が何かつぶやいた。

「わぁ、いいなぁ。まゆかの手柔らかそうだなぁ。僕も手を繋ぎたいなぁ。というか独り占めしたい」
「……」

 部長。

 ぼそぼそ言ってますけど早口な上に声が低すぎて全く聞こえません。

 聞き直したほうがいいのかなぁ。

「ねぇ大野さん」

 迷っていると新村くんが私の意識をこつんと叩いた。

「ちゃんとヨツビシのこと対策するためにも終業後にどこかで話し合わない?」
「ええっと」

 私は三浦部長を見た。

 彼の不機嫌さがあからさまなくらい顔に出ている。これどれだけのお叱りを受けるかわからないレベルだよね。

 お小言マシンガンが火を噴く程度で済めばいいけど。