やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 私が感心していると視界の端で三浦部長が恐い顔をした。

 あ、やば。

 クビがかかっているっていうのに呑気にイケメン観賞してる場合じゃないよね。

 私は気を引き締めた。きゅっと小さく拳を握る。

 新村くんがその拳を自分の両手で包む。温かな彼の体温が伝わってきた。

 ドキリ。

 三浦部長の前だというのに勝手に反応してしまう自分の心臓が情けない。

 私は上がっていく自分の熱を極力意識しないよう努めた。それでも火照っていく自分の顔が嫌になる。

 ああ、三浦部長が見てるのに。

 てか、部長の眉間の皺がどんどん深くなってきてるんですけど。

 これ、かなり怒ってる?