やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない


 *

 お昼。

「わぁ、どうしよぉっ!」

 私は自分のデスクで頭を抱えていた。

 第二事業部のフロアには私しかおらず大声を発しても誰かに咎められる心配はない。私以外の外回り組は午前中から出てしまっているし、営業事務の子たちもお昼を食べに行ってしまった。私は電話番としてここに残っている。

 ヨツビシ工業の件をゆっくり考えるために一人になったのだが一向に良いアイデアは思いつかなかった。

 デスクの上のスマホはメモ帳の画面のまま止まっている。何も入力されていないメモ帳は私の頭の中を表しているかのように真っ白だ。何か浮かんだらすぐにメモしようとしていたのにただのバッテリーの無駄になっていた。

 それでも私は椅子の背もたれに身を預けてうんうん唸ってみる。