やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「ヨツビシの件、何とかできたら処分を取り消してもらえませんか?」
「はぁ?」

 北沢副社長が目をぱちぱちさせる。

 意表を突かれたかのような面持ちで私を見ると彼は尋ねた。

「何とかって、お前さんにそんなことできるのかよ。それにどうしたって状況はこっちにとって不利なんだぜ? 何せあっちは暴力事件の被害者なんだからな」

 私だって危うく被害者になりかけたんですけど。

 という言葉はとりあえず飲み込んだ。

「ど、どうにかできたら私と三浦部長の処分はなしにしてください」

 ヨツビシをどうにかする方法はまだ思いつかない。

 けど、私は必死だった。

 必死でこのピンチを乗り切ろうとしていた。