やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 三浦部長が答えずにいると副社長がつまらなそうに鼻を鳴らした。やや大げさに彼は肩をすくめて見せる。

「おいおい、マジで惚れてるとかやめてくれよ。そんな糞みたいな理由で暴力事件を起こされたんじゃたまんねぇぞ」
「……」

 三浦部長の表情がさらに硬くなる。怒りを堪えているのか耳まで赤くなっていた。

 まあ、あんな言われ方をされたら誰だって怒るよね。

 しかも私に惚れてるとかあり得ないのに。

 ……ううっ、またセルフダメージが。

 ちくちくとした胸の痛みを私が感じていると、ちらりと部長がこちらを見遣った。

「彼女は大事な部下です。守るのは当然だと思いますし、やり方は間違っていましたが助けたこと自体に後悔はありません」