やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「処分と言われても」

 武田常務が苦く笑んだ。

「管理職は取締役会の承認がなければ解雇できませんよ。平社員にしても迂闊に首を切るような真似をしたら組合が黙っていない。前時代的なやり方は副社長が考えているほど容易に通じないんですよ」
「そんなもん自主的に辞表を書かせりゃいいだけの話だろ」

 わぁ、すんごい乱暴。

 何だか想像よりも粗暴な人だなぁ。

 私が呆気にとられていると北沢副社長は三浦部長に向いた。

「あれだな、いくら部下のためとはいえ取引先に手を上げるのは社会人としてやっちゃ駄目だろ。それともあれか? そんなに大事な部下だったのか? まさか惚れた女とかじゃねぇだろうな」

 副社長の口調は厳しい。

 聞いている私まで辛くなってくる。