やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 私が部長を止めるべく声をかけようとすると、彼はまっすぐに武田常務を見つめて告げた。

「お世話になりました。常務にこれ以上ご迷惑をおかけする訳にはいきません。どうかこれを……」
「馬鹿野郎っ!」

 いきなり常務が怒鳴ってローテーブルを叩いた。衝撃でカップとソーサーが音を鳴らすくらい激しい。

 その迫力に私までビクリとしてしまッ他。

「それで責任を取ったつもりかい? ふざけるんじゃない。君一人が首を切られたくらいでどうにかなる問題じゃないんだよ。そんなこともわからないでよくここまでやって来れたものだね!」
「……すみません」

 三浦部長の声が震えている。