やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「拓也、私は君の味方だよ。出来ることならずっと守ってやりたい。しかし、組織というのは個人の情だけでどうにかできるものではないんだ。それはわかるね?」
「はい」

 何かの覚悟を決めたような声で三浦部長が応じる。

 彼はスーツの内から白い封筒を取り出した。そこには「辞表」の二文字。

 えっ、と私は目を疑った。

 ちょい待って。

 それはダメですよ、部長。

 てか、何かの冗談ですよね?

 会社を辞めるなんてこと、しませんよね?

 疑念と願望を半々に三浦部長へと視線を移すと彼は感情を押し殺したような顔をしている。

 え?

 マジなの?

 そんなのダメダメダメ!