やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 まあ、いっか。

「いいんじゃないですか。あったかそうですし」
「そうか」

 三浦部長がまたうなずき、マフラーを元の位置に戻してコートの並んでいるほうへと足を向ける。

 私の変じが気に入らなかったのかな、と小さな反省がちくりと胸を刺した。たとえ自分へのプレゼントじゃなかったとしてもきちんと応えるべきだったのかもしれない。

 どれも暖かそうで値段も張りそうなコートを三浦部長が眺める。私にちらと視線を向けてからその中の一着を選んだ。通勤時にも使えるようなさっぱりとしたデザインのコートだった。

 それは今日も私が着てきたコートと同じ色でこれならさっきのマフラーとも合う。