やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「無理しなくていいんだよ。ちょっと外の空気でも吸おうか」
「……」

 本当に平気なんだけどなぁ。

 ロバが回り込んで来て私の腕を掴んだ。

 その強引さに吃驚して身が固まる。ロバはぐいぐいと引っぱって私を立たせようとした。彼の力の強さに軽く危機を抱く。

 ポチが口を開いた。

「冬馬、好みの女だからってがっつくなよ」
「別にがっついている訳じゃないぞ。ただ彼女が心配なだけだ」
「あーはいはいそうですか。そりゃお優しいことで」

 ネズミおじさんはにこにこしながら二人のやりとりを聞いている。もしかしたらロバとポチはいつもこんな調子なのだろうか。

 コホンと誰かが咳払いをした。

 三浦部長だ。