やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない


 *

 夜。

 私は会社の最寄り駅から二つ先の駅の近くにあるカレー店に来ていた。

 私的に二日連続でカレーになってしまうが今夜はヨツビシ工業(ネズミおじさんこと福西部長がいる会社)への接待なのでやむなしである。

 というかネズミおじさんも二日連続でカレーだよね?

 まあ今回は昨日とは別のお店だけど。

 私の横には三浦部長と本来の担当者の加藤久則(かとう・ひさのり)さんがいる。加藤さんは今年三十二歳。浅黒い肌の持ち主で健康的な印象のある元サーファーだ。笑うと右頬に笑窪が出来て結構可愛かったりする。

 六人用のテーブルを挟んで私たちとヨツビシ工業の皆さんが座っていた。私たちカドベニは真ん中に三浦部長、左右に私と加藤さんだ。ヨツビシ工業側も真ん中はネズミおじさん、その両脇に彼の部下がいる。向こうは男だけの三人組だ。