やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「な、なぁ大野」
「はい」

 少し彼の纏っている雰囲気に緊張が混じっていた。

「君はあれだ、好きな人とかいるのか」
「へっ?」

 思わぬ質問に声が上擦る。ドキリと鳴った胸がその鼓動を速めていった。

 自分の顔に熱が集まってくるのを自覚する。

「あ、えっと。えっとですね」

 これ告るタイミングかな?

 それとも今は止めておいたほうがいいかな?

 どちらが正解かわからず私は逡巡する。答えを求めてテーブルに目を落とした。もちろんそこに正答なんてものはない。

 そもそも告白するにしても勇気が足りない。