やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 私は一つ息をついてから告げた。

「別にやましいことはしてないよ。ただチキンカレーを食べてきただけだし」
「ふうん」

 中森さんが唸る。辛うじて笑みを保っているがそれはあくまでも表面上のことだ。だって頭の上の蛇がめっちゃシャーシャー言ってるし。

「あたしのお友だち情報によれば相手の男と仲良くお手々繋いでいたって話だけど? しかもその手を男のコートのポケットにインしていたそうじゃない。随分とまあ親密だこと」
「うっ」

 あれ?

 全部見られてる?

 だらだらと背中を嫌な汗が流れていく。手汗だってすごいことになっていた。

 私は手汗がバレないように両手をお腹のあたりで組んだ。