やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない


 *

 八階と七階の間にある階段の踊り場まで私を連れて行くと中森さんは私を壁際に追い詰めた。

 ドンッと私の頭の横の壁に片手をつく。

「どういうことか説明してくれるわよね?」
「……」

 中森さんは笑顔だが目が笑っていない。

 おまけに普段は細かなウェーブのかかった茶髪は沢山の蛇と化しており私に「シャーッ!」と威嚇していた。まあこれは私的にそう見えるってだけなんだけど。

 でも中森さんが怒っているのは確かだ。

 原因も何となくわかる。

 ……というかあれだよね?

 昨夜北沢さんとチキンカレーを食べに行った件だよね?