やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない


 *

「大野」

 朝イチに作成した書類を営業事務の子に回して自分のデスクに戻ろうとしたとき三浦部長に呼び止められる。くいくいと手招きする三浦部長に逆らえず私は彼の元へ向かった。

「あの、何ですか?」
「うん、超可愛い。癒される」
「はい?」

 三浦部長の声は小さすぎて私にはよく聞こえない。

 これ、そろそろやめてくれないかな。