やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 それらが彼方へ消えてしまうとテレビで目にしたことのある大手チェーンのファミレスが姿を現した。その奥には無駄に広い駐車場のあるスーパー。私はまだ利用したことはないがお店の規模だけで判じるなら品数は多いのかもしれない。

 マンションらしき濃い灰色の建物が数棟あって何回か視界を塞ぐ。

 合間に覗けた空は抜けるように青かった。

 先輩、今ごろ福岡かなぁ。

 ふとそんなことが頭に浮かび昨夜の彼の手の感触を思い出す。

 あ、駄目だと意識するより先に顔が熱くなった。比例するように胸がとくんと鳴り鼓動を速める。

 もし三浦部長を好きにならなかったら先輩を好きになったかもしれない。

 私は頭を振った。

 もし、を言ってもどうしようもないことはある。私が好きなのは三浦部長だ。北沢さんじゃない。