やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「うん、よろしくねぇ」

 私はネズミおじさんと名刺を交換した。

 わあ、本当にこの人ってヨツビシの部長なんだ。

 名刺に書かれた「ヨツビシ工業東京本社産業機械部部長福西忠」の文字が妙に嘘臭く見える。

 つーか、忠って何?

 チュウって、名前までネズミなの?

 そんなことを考えているとネズミおじさんが言った。

「君可愛いねぇ。僕、君みたいに可愛い子は大好きだよぉ」

 ぞわっ。

 全身の毛が逆立ちそうな不快感に襲われ私は硬直する。

 やだこの人気持ち悪い。

 誰か駆除して欲しい。