やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「おおっ、これは期待していいかな?」

 スプーンを片手に北沢さんが笑んだ。

 彼は一度に鍋の半分くらいの量をご飯にかけた。

 私はご飯にカレーを適量かけてから「いただきます」と言って最初の一口を食べる。

 ご飯と一緒に口にしたカレーは程良く辛く、素直に美味しいと感じた。

「うん、美味い」

 北沢さんがうなずき、食べるペースを速める。

 私も彼に倣った。

 店内には私たちの他に数組の客がいてテーブルはほぼ埋まっている。曲名はわからないけれど聞き覚えのある曲がインドっぽさを強めていた。

 私の頭の中でターバンを巻いた少年が象に曲芸をさせている。