やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「あの、今何て……」
「いや、何でもない」

 三浦部長の顔が赤くなった。

 きっと余計な質問をした私に苛ついたからに違いない。

「じゃあすまないが行ってくる」
「あ、はい、行ってらっしゃい」

 足早に第二事業部を後にする部長を見送りながら私はちょっと……いやかなりがっかりしてしまうのであった。

 *

 今夜の予定も無くなっちゃったし、夕飯を買ったら真っ直ぐアパートに帰ろうかな。

 本日の業務を終えて私は第二事業部を出た。

 一階へと降りながら夕食は何を食べようかとあれこれ考える。

 三浦部長とチキンカレーの美味しいお店に行くつもりだったので思い浮かぶのはカレーばかりだ。頭の中でプチカレー選手権が始まって大手コンビニ三社のカレーが火花を散らした。