やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 新村くんの表情がぱあっと明るくなった。

 ここで三浦部長から頼まれただけだと言ってもいいのだけれど、それはそれで新村くんの喜びに水を差してしまいそうで気が引ける。

 あと、あんまり時間をかけたくないし。

 わざわざ三浦部長の名前を出さなくてもいいよね。

 私は少し罪悪感を覚えたがそれを振り切るように笑みを重ねた。頬が引きつっていないことを祈ろう。

 受け取ったレジ袋の中を見た新村くんの声が弾む。

「これ文明開化堂の特製フルーツロールだ。すごいなぁ、大野さんからこんなのもらっちゃったら何をお返ししたらいいのかわからないよ」

 あれ、お店をご存知でしたか。

 け、結構有名なのかな。

 私、不勉強?