やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「前は彼氏が出来ないとか嘆いてたけどどうだ? 俺のいない間に彼氏が出来たか?」
「そ、そんな暇なんてありませんでしたよ」

 事実仕事はたんまりあるので嘘はついていない。

 そう、私がフリーなのは仕事のせいだ。

 ……仕事のせいだよね?

「そっか」

 北沢さんがなぜか安心したように首肯した。茶髪がふわりと揺れる。

「ま、最悪俺がいるから安心しろ。まゆかが嫁なら大歓迎だ」
「またまたぁ、冗談はやめてください」

 私たちが話をしている間に北沢さんが呼んだエレベーターが五階に着いた。