やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「あの北沢ジュニアが帰って来たらまたうちの女子社員も騒がしくなるでしょうねぇ」

 優子さんが少しいやらしい笑みを浮かべた。

「ただ本人は見た目のちゃらさに反して結構女性関係はクリーンなのよね。うちの新村くんとは大違いだわ」
「……」

 新村くん。

 あなたの上司が酷いこと言ってるよ。

「すみません、うちの課長が……あ」

 靴音がしたと思ったらよく知ってる声が聞こえた。

 新村くんだ。

 噂をすれば何とやらではないけどなかなかのタイミングに私は思わず苦笑してしまう。

 やばっ、と言いたげに顔を引きつらせた優子さんに新村くんがつかつかと詰め寄った。