やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「あーいや待って」

 半ば見放しかけた様子の三浦部長の態度に優子さんが慌てて立ち上がった。

「ま、豆撒きだけじゃないよ。用事あった。今思いついたから待って」
「……」

 優子さん。

 今思いついたって言いませんでした?

 私と同じことを思ったのか半眼で三浦部長が優子さんを睨む。無言で彼は続けるよう促した。

「あ、あのね、この前の取締役会で新たに第三事業部を作ろうって話しが出たの」
「ああ、その話か」

 三浦部長が首肯した。

「でもそれはまだ先の話だろ」
「それが割と具体的なところまで進んでるのよ」

 優子さんがなぜか得意げに胸を張った。

 いや、そこ胸を張るところじゃないよね。