やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「そういやフルーツロールはどこのなんです?」

 レジ袋は見たことのない店のものだった。

 三浦部長が口の端を緩める。あ、何か得意気だ。

「これは文明開化堂の節分限定フルーツロールだ。ローカル番組だがテレビにも出たことがある店のスイーツなんだぞ」
「へぇ」

 そんな店があったんだ。

 私には馴染みがなさすぎて今一つピンと来ない。

 ま、どうせ自分では買わないし。

 そう判じて曖昧に笑うことにした。

 三浦部長がまたコホンと咳払いし、落ち着かなげにあたりに目を走らせる。部内には私と部長しかいないのに妙にそわそわしだした。

「そ、それでだな、あれだ、あれ」
「はい?」