やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 今日の私は外に出る予定がなく、いや出たくても書類作成やら何やらで手一杯の状態でずっとデスクの付属品と化していた。

 少し目に疲れを感じて軽く眉間のあたりをマッサージする。思いの外楽になったような気がして私はふうと息をついた。

 よし、と気合いを入れ直してキーに手を伸ばす。

 コホン、と咳払いが聞こえた。

 そちらへと意識を向けるとやや顔を赤らめた三浦部長と目が合う。彼はフルーツロールの最後の一欠片を口に放り込んで私を手招きした。

 さっきよりも表情が険しい。

 イケメンの怒った顔は並の人のそれより何十倍も怖い。

 え?

 私は戸惑うしかなかった。

 朝イチが期限だった書類ならちゃんと提出したよね?

 他は早いものでも本日中のリミットのはず。外回りにしても急ぎのものはなかったよね。

 え?

 私、何かやらかした?