やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 二十センチほどの長さの恵方巻を手渡しながら三浦部長が注意してくる。部内の暖房が効きすぎているからか顔がほんのりと赤くなっていた。

「それとどうもフルーツロールを買いすぎたようだ。良かったらこれも食べてくれないか?」
「えっ」

 ちなみにフルーツロールも二十センチくらいの長さである。

 朝ご飯はコンビニお握りが三個だったので恵方巻だけで十分足りていた。だが、三浦部長の切れ長の目は眼力があってとても拒めそうにない。

「あの、でも、私だけ両方取るのはまずいんじゃ……」
「余らせるよりはマシだ。気にするな」
「……」

 一応の抵抗を試みるもあっけなく失敗する。