やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「ああ嫌だ、聞いただけでも凍えそうだ。寒いのは苦手なんだよなぁ。大雪なんて確実に電車も止まるし。いいことなんて何にもないよ」
「でしたらお休みを取って家に引きこもったらいかがですか?」

 妙に刺々しい声音で中森さんが言った。

「何ならいっそ退職するとか。課長がいなくなってもあたしは全然構いませんよ」

 あ、あれ?

 中森さん、上司に挨拶もないの?

 てか、すっごい毒舌なんですけど。

 ははは、と柱谷課長が眉をハの字にして乾いた笑いを漏らす。中森さんのこの態度に慣れている様子だった。

 うーん、柱谷課長って良い噂しか聞かないし、誰かに嫌われる要素なんてなさそうなんだけどなぁ。

 それとも私の知らない欠点でもあるのかな?