やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 開いた自動ドアをくぐったばかりらしき男の人がこちらに駆け寄って来る。スーツを着ていなければ高校生と間違えてしまいそうな童顔の持ち主だ。

 しかし、実際は三十代前半だったりする。確か三浦部長の二つ下の後輩だったかな?

 イケメンと言えばイケメンだけど爽やか系の新村くんとはタイプが異なる。何というか……そう、可愛い系だ。

 身長は一六五センチくらいかなぁ。うん、新村くんのほうが高い。

 中森さんが嫌そうに眉をしかめた。

「柱谷(はしらたに)課長、おはようございます」

 新村くんが振り向いて会釈する。

 私も挨拶した。

「おはようございます」
「おはよう、今朝も寒いね」
「北陸のほうは大雪らしいですよ」

 新村くんが応じると柱谷経理課課長はぶるっと身震いした。