やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「か、帰りの電車であたしが酔っ払いに絡まれていたところをこの人が助けてくれたの」
「……」

 うん、そういうこともあったね。

 でも、本当の出会いはそれより前なんだよなぁ。

「へぇ」

 新村くんが感心したように応えた。

「大野さんってやっぱりいい人だよね」
「そうそう、いい人なの♪」
「……」

 中森さんから毒気が抜けていてかなり気持ち悪い。

 こんなの中森さんじゃない。

 新村くんがうん、と首肯して何かを納得する。

 私が疑問符を一つ頭に浮かべると彼は告げた。

「俺、大野さんのそういういい人なところも好きだよ」