やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「……」

 おおっ、泳いでる泳いでる。

 目が遠泳してる。

「スキンシップの激しい子とかいなかった?」
「……」

 中森さんの耳が赤い。

 というか隣にいるからか熱が伝わってくる。

 これはあれだ、百合の匂いがするぞ。

「中森さんは……」
「それ以上言ったら怒るからね」
「……」

 可愛らしいはずの中森さんの声が地獄の門でも開きそうな低いものへと変じた。

 細かなウェーブの茶髪が複数の茶色い蛇になっている。

 あっ、やば。

 目デューサ化してる。

 私はお口をチャックした。