やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「中森さんって女子からもモテるでしょ?」
「……っ!」

 一瞬彼女の表情が引きつる。すぐに取り繕うようにしかめ面になるが見逃さなかった私は追撃した。

「お姉様とか言われたことない?」
「あ、ある訳ないでしょ」
「……」

 すごい。

 この泳ぎまくる目の動き。絵に描いたようなうろたえっぷりだ。

 中森さんは思い出したくない過去でもあるのか私から目を逸らして口をきゅっと結んだ。普段の怖いイメージからは想像もつかない可愛らしさである。

 このギャップでご飯三杯はいける。

「チアとかだと女の子ばっかりだよね。練習とか合宿とかでさ、ずーっと一緒にいるじゃない」
「ま、まあそうね」
「着替えとかお風呂とかでさ、おかしな視線を感じたりしなかった?」