やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「それにあのまま乗ってたら何をされていたか。あいつ、タダであたしの胸を触ったのよ。思い出しただけでもムカつくわ」

 中森さんが腹立たしげにベンチの座面を殴る。

 ゴンッという打撃音が鈍く響いた。

「……」

 あれ?

 やっぱり、助けなくても良かった?

 私が介入しなくても中森さんなら一人で対処出来たんじゃ……。

 それにネズミおじさんは中森さんの胸倉を掴んだのであって触るために胸に触った訳ではないよね。まあ腕が胸に触れていたからアウトと言えばアウトだけど。

「それにしても」

 中森さんが眉をハの字にした。