やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 私は中森さんに訊いてみた。

「中森さん、迎えに来てくれる人とかいないの?」
「あたし、一人暮らしなのよね」
「……そっか」

 ううっ、どうしよう。

 私のせいで中森さんに迷惑かけちゃった。

 ひょっとしたら別の方法があったのかもしれない、と私は猛省する。けれどいくら後悔しても後の祭りである。中森さんが乗らなければならない電車はもう出てしまったし、時間は巻き戻せない。

 私が肩を落としていると中森さんが言った。

「そんなに責任を感じなくていいわよ。あんたのおかげであの酒臭いおっさんから逃げることが出来たんだし」
「でも」