やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 急速に落ちる電車の速度が窓の外の景色だけでなく体感でもわかる。

 私は念のために尋ねた。

「そのおじさん、中森さんの知り合いじゃないよね?」
「そんなもん見てわかんないの?」

 中森さんがふんっと鼻を鳴らす。とても人に助けてもらう態度ではない。むしろ悪役だ。誰かに成敗してもらったほうがいいのかもしれない。

「あんた真性の馬鹿か何か? 胸だけじゃなくおつむも残念なのかしら?」
「……」

 助けるのやめよっかなぁ。