やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 てか、あれ酔っ払いに絡まれているんだよね。相手の人、中森さんの知ってる人とかじゃないよね。

 中森さんって知らない人にも罵倒できるんだ。

 私には無理だなぁ。

 ネズミおじさんは悪口を言われたのにへらへらしている。おお、タフだ。それとも泥水しすぎておかしくなっているのか?

「いいじゃないのぉ、付き合ってよぉ」
「ああもう、しつこいっ!」

 中森さんが離れようとしてもネズミおじさんがふらふらしながら追ってくる。というかおじさん中森さんのコートの裾を掴んでいるよね? それ外さないといつまでもついて来るんじゃ……。

「ねえねえ、一緒に飲もうよぉ。いいじゃないのぉ、一軒だけ、一軒だけだからさぁ」
「だ・か・ら、酒臭い息を吐かないでよ! てか息するなっ!」