やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 今さらながらに自分のしたことを後悔する。三浦部長は私をタクシーで送ってくれると言っていた。それなのに断ってしまったのは何だか辛かったから。

 彼を嫌いになったとかではない。

 それどころか私は三浦部長が大好きだ。

 大好きだから彼に嫌われているのが辛い。

 あの焼き鳥屋での三浦部長の態度が頭の中で再生され、私はまたため息をついた。

 肩を落として足元に目を遣る。ガタンゴトンと規則正しいリズムが揺れを伴って繰り返されていた。

 ああ、私がもっと素敵な女だったらなぁ。

 三浦部長の横に並べるような女だったらなぁ。