やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「お見合いの件です」

 私は平静を装いつつつくねを囓る。少しだけ焦げている気がした。きっと実際にはそんなことはないのだろう。私の心象が味覚を狂わせているのだ。

 情けなかった。

 三浦部長が好きなのに彼に相応しくない自分が情けなかった。いつも叱られてばかりで彼に迷惑をかけている自分ではまだまだ振り向いてもらえないであろうことは承知している。だから彼にお見合いの話が来てもどうすることもできない。

 お見合いなんかしてほしくなかった。

 でも、それを断ったせいで部長が出世できなくなるのも嫌だ。

 三浦部長にはその能力に見合った仕事をしてもらいたい。

「私の親戚になるのは嫌かね?」