やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「だいたい君はだなぁ」
「まあまあ、その辺にしておいてあげようね」

 お小言マシンガンを連射しようとした三浦部長を武田常務が制した。

「それにどうやら事情があるようだし」
「ええと、私もどうしてあんなことになったのかわからないんです」

 私は中森さんとのことを思い出しながら部長に説明した。

 彼女は「彼」に私がちょっかいを出したと思い込んでいた。

 でも、私はそんなことをしていない。完全に中森さんの誤解だ。

 そもそも「彼」が誰なのかさえ私は知らないのである。