やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「まあまあ、そんな恐い顔しないでよ。君だってまだ若いんだし恋くらいするでしょ」
「わ、私は別に」

 顔に熱が集まってくる。そういや私も飲んでいたんだっけ。

「大野さんは可愛いね」

 悪戯っぽく武田常務が私にささやく。

 その眼差しはとても優しいものだった。

「いいなぁ、あと二十年若かったらなぁ。お持ち帰りするんだけどなぁ」
「……」

 わぁ、常務。

 それ他の子に言ったら本気にされますよ。ファンの子なら大喜びでお持ち帰りされますよ。