やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 もうちょい私も若ければ「愛さえあれば何も怖くない」ってなったかもしれないのに。

 ……って、まだアラサーなんだけどね。

 それに私は三浦部長とそういう関係じゃないし。

 ただの上司と部下だし。

 全然そんな目で見られてないし。

 ううっ、泣きたくなってきた。

 よし、今夜は飲もう。

 じゃんじゃん飲もう。

「あー大野さん」

 困ったような声に意識を小突かれてそちらに視線を向けると苦笑いの常務の顔があった。

 やばっ、常務の存在忘れてた。